常におなかがすいている

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【映画】新作ターミネーターを観たっ『ターミネーター:ニュー・フェイト』

ターミネーター2』をきちんと観てから新作を観ました!

なので2の感想をふっとばしw新作の感想をつらつら。

 

ターミネーター:ニュー・フェイト

2019年公開、製作:アメリカ。

ジェームズ・キャメロンが製作に携わるシリーズ復帰作品。

アーノルド・シュワルツェネッガーはもちろん、リンダ・ハミルトンのカムバック作で、『ターミネーター2』(以下、T2)の正当な続編と謳われている。

 

www.foxmovies-jp.com

 

観た環境:映画館、スクリーン大、字幕、2D

 

あらすじ※ネタバレ無し

 舞台はメキシコ。工場で働くダニーと弟ディエゴは謎の男から突然襲撃される。その攻撃からこれまた突然現れたベリーショートカットのブロンド女性が姉弟を守った。男の攻撃から姉弟を連れて逃げるこの女性は名前をグレースといい、自分は未来から来たのだと告げる。襲撃犯はターミネーターという殺人アンドロイドで人間ではなく、ダニーを攻撃するために未来からやってきた。その攻撃からダニーを守るために未来から来たグレースもまた、人間を超えて強化されているのだ。

 ターミネーターから必死に逃げるダニーたちの前に現れたのは、武装した老齢のブロンド女性。彼女こそサラ・コナー。サラもまたターミネーター襲来の情報を得てやってきたのだ。

 邂逅するダニー、グレース、サラ。サラにターミネーター襲来の情報を送っていた発信元を突き止めた一行はメキシコから密入国し一路アメリカ・テキサスを目指す。そこで待っていたのは…。

(どこまでならネタバレにならないか公式HPであらすじを確認しました。その際疑問が…。公式HPに弟はミゲルと書いてあるのですが、ディエゴのはずです)

 

感想※ネタバレ無し

ターミネーターシリーズうんぬんと言う前に、単純にアクションSF映画として面白かったです! 相変わらずターミネーターは超怖いし。サラ・コナーを演じるリンダ・ハミルトンの還暦過ぎとは思えないアクションも見ごたえがありました。T2からさらに年季の入った戦闘民族になっていました。

アクションシーンはやはり『ターミネーター』(以下、T1)、T2と比べて撮影技術が発達しているのでさらに迫力がありました。生身の人間ではアンドロイドに太刀打ちできないので強化人間≒サイボーグを造ったのも頷けました。なのでグレースも人間の箍を外した戦い方をしていてそれが見ていて気持ちが良いという感じもします。

ダニー役のナタリア・レイエスは小柄な女優さんで、なんだか勇気が出ました。(私が小柄なので笑)

グレースasマッケンジー・デイヴィスがめちゃくちゃかっこ良くてかつ美しいです! 画面に出てくると見とれちゃいました。本編中は常に険しい表情をしていますが、ググったら笑顔の素敵な女優さんでギャップ!素敵!となりました。

シュワちゃんはおじいちゃんになったな~という印象ですが、さすがはシュワちゃん。戦争で千単位で人殺してきた傭兵が引退したって感じの雰囲気です。

ターミネーターを演じるガブリエル・ルナが常に無表情で襲ってくるのはほんとに怖かった。もう勘弁してやってくれぃ!

 

単純に、「あ、ターミネーターの新作か~アクションとかSF好きだし行こうかな~」って人にはオススメって感じです!

ターミネーターの新作か…本当に続編なのか…裏切られないか…観に行くべきか…否か…」と迷っていらっしゃる方。直前にT1とT2をちゃんと見て予習していった者としては。

「ニュー・フェイト:新たな運命」を受け入れる覚悟があるなら映画館へ直行だ! やっぱ大画面の迫力には抗えん! って感じです。

あとWikipediaは見ちゃダメです。

 

以下、ネタバレを含む長文感想行きます!(以下、ネタバレ有り

 

 

感想※ネタバレ有り

 かくして人類は審判の日を退けることができたが、ジョン・コナーは死んだ。

サラたちはスカイネットを破壊し、スカイネットが造ったアンドロイドたちが人類に戦争を仕掛ける未来は回避されたが、その未来が回避される前に別個体であるターミネーターT-800が送り込まれていた。そのT-800が気を緩ませていたサラとジョンの目の前に現れ、ジョンを殺害した。サラはジョンの亡骸を抱き締めるしか出来なかった。

 なるほど。そうきたか。

 公式HPのストーリー紹介にも、ジョン・コナーの死は一切記述されていない。しかし本編では最初ジョンが死ぬシーンから始まる。前記事で、未来が変わるかもしれないレベルで過去を書き換えまくっている(人を殺しまくっている)けど多分そんなことは重要じゃないと私は書いたが…。重要だった! ほらやっぱ未来は変わる! 時間軸がいくつか存在するようになってしまったのだ。

 時間軸が複数生まれてしまったと考えれば、『ターミネーター3』や『ジェネシス』の未来も存在することができる。なるほどね。

 

 ジョンが死んだ…しかも冒頭であっけなく…。

 まあでもそうだよな。仕方がないか。そう観ていて思った。ただ直前にT2を観たばかりだったのでかなりショックだった。単純に悲しかったし、何よりサラが気の毒で気の毒で仕方がなかった。

 そう、私はずっとサラが気の毒だと思いながらこの映画を観ていた。

 ダニーはかつてのサラ(T1)と同じように突然ターミネーターの襲撃を受ける。朝元気に別れたはずの父親もすでに殺害されていることが判明し、その上目の前で弟ディエゴも死んでしまう。ディエゴは姉のために身体を張って車を運転し、見事な死に様であった。そんなダニーにサラは過去の自分を重ね合わせ、皮肉めいた言葉をかける。

「あんたも未来で指導者となる息子を産むんだろ。聖母の座はしばらく譲るさ」

 するとグレースはこう返す。「あなたが聖母?」笑わせないで、といった様子で。

 グレースはずっとサラのことを認めない。ダニーが一番。でもそれは当然だ。サラ・コナーが活躍した過去そのものがグレースが生きている未来では存在しないのだから。だからサラが自分は30億人を救ったと言ったところで、グレースにとっては戯言にすぎない。当然、自分の未来で自分を救ってくれ力強い指導者であるダニーのことしか眼中にない。

 サラの言っていることが本当なんだとグレースも確信し始めるのは、カールと自ら名乗るT-800の存在を確認したあたりから。終盤辺りではグレースもサラを認め助けようとするくだりもある。でもそれはダニーがサラを気にかけているからという理由も大きい気がする。あくまでもグレースはダニー命。

 サラの怒りが爆発するのはジョンを殺したT-800がカールという“人間”になって家族を持っていたことが発覚した時。ひとり怒りと悲しみに沈むサラにダニーが寄り添い、その手をサラが取ったシーンは涙が出ちゃいました。

 私が一番引っかかったのは、輸送機の中でグレースがダニーにこう真実を告げた時のこと。

「あなたは救世主となる息子を産む母親なんかじゃない。あなた自身なのよ。私を救ってくれたのはあなた自身」

 うーん…サラのこと全否定?

 劇中、サラ自身はむしろこの発言によってダニーはジョンそのものなのだと悟ることができた。だからサラはダニーを守り育てることを決意し、これがサラの生き続ける気力になっていく。結果的にサラは救われた。やっと。

 でも私自身はサラ・コナーというキャラクターを気の毒に思ったままだった。

 うーん…。飛躍していると言われればそれまでなのだが…最近のハリウッドはジェンダーについて拘りすぎていないだろうか…。

 いや、ダニーがサラと同じようにのちの救世主の母親であるという構図ではなく、ダニー自身が救世主だったという構図にしたのは映画としても当然OK、アリだ。(何を偉そうにw)でも、それを告げるときに「母親なんかじゃない」というサラの過去を否定するようなセリフを敢えて入れる必要があったんだろうか…。今回、字幕だけで観てまだ吹替で確認していないので私が誤認している可能性も大いにあるのだが。

 救世主を産む母親。この構図ってそんなにいけないだろうか…。女性に母親の役割だけを求めるのはNGだと思うけれど、母親という役割は女性のひとつの側面であることは間違いないはずだ。 私はこのセリフが、そこを否定するように聞こえてしまったのだ…。これは私自身が、母親だとか女だとかということについて考え過ぎているからなのかもしれない。

 あと最近ハリウッドやディズニーでも、“ひとりで道を切り開く女性”、強い女性像というものが前面に押し出されすぎている気がする。そんなに強くなくっちゃだめかな。いつか誰かが引っ張り上げてくれるかもしれないと願うことは、男だって女だってあるよ。白馬の王子様を望むことはそんなにダメなことかしら。脱線。

 うだうだ書いてみたが、多分。この映画が言いたかったことは、サラ・コナーという女性は気高く強く愛に溢れた女性に成長したということだ。サラこそが救世主であるということだ。サラはずっと孤独のまま戦ってきた。ずっと。私なら絶対くじける。むり。カイルの名前をもじったっぽいカールと名前を変えたT-800が「ジョンのために」と言ってサラを焚きつけてきたことにも、サラはひとりで向き合っていた。(T-800はおそらく寄り添ってるつもりだったのだと思う)

 愛する人々、最愛の息子の死を乗り越えてサラはまた新たな希望を手に入れた。サラ・コナーこそが一番強く美しい女性なのだ。『ターミネーター』はサラ・コナーのための物語だった。

 

おわり。